大切なペットとの別れーペットロスを防ぐ
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愛するペットが旅立ったとき、その悲しみから立ち直れなくなる「ペットロス」に陥る人がいます。家族同然に過ごし、一緒にいた時間が長ければ長いほど、喪失感が大きく感じやすくなります。その悲しみをどのように癒やしていくかについて、人の看取りに携わっている日本看取り士会奈良研修所代表で、ペット看取り士としてペットの看取りにも携わっている乗本奈穂美さんに聞きました。
なぜペットロスに陥ってしまうのでしょう
人の死にも、ペットの死にも本来違いはありません。大切でかけがえのない存在を失う喪失感は、はかりしれません。
人の場合は、臨終が間近に迫った時、医師や看護師、家族など誰かが様子を見てくれていて、その時が近づくと連絡してくれることが多いです。また、亡くなったあとも、葬儀をはじめさまざまなしきたりや決まり事の中で、少しずつ死を受け入れていくことができます。
一方、ペットの場合、誰もいない間に亡くなってしまったり、動物の本能から姿を消してしまったりということがあります。亡くなったあとも、人のように決まり事があるわけではないので、「本当にこの方法でよかったのか」と、不安と後悔が残ってしまいます。
また、高齢の人がペットを亡くした場合、自分の年齢を考えると、寂しいけれども次のペットを迎えるには負担が大きく、諦めざるを得なくなります。
これらがペットロスに陥る環境のひとつと考えられます。
悲しみを癒すためにまずできることはありますか
最後を一緒に過ごせる場合は、ペットの体をなでてあげたりしながら、ペットと過ごした思い出などを話しかけてあげてください。言葉はわからなくても、気持ちは通じるはずです。
息を引き取っても命は体からすぐに離れるわけではありません。亡骸を抱きしめてあげたり、「ありがとう」と伝えたりしてください。思い切り泣くことも気持ちを伝える方法のひとつです。もし、気持ちを共感してもらえる人が近くにいるようでしたら、一緒に思い出を振り返って話すのもよいです。また、ペット看取り士に相談するのも一つです。
残念ながら臨終に立ち会えなかった場合も、亡骸を抱きしめてあげるなど、同じようにお別れをしてください。
ペットが使っていたものを無理に片付ける必要はありません。初七日は大切な別れの時間です。ご飯をあげたり、お水をあげたり、一緒にいるつもりで散歩にでかけるなど、今まで通り過ごすと良いです。思い出して泣きたければ、泣くことも大切です。
写真を飾って話しかけたり、食事を用意するのもよい
それでも悲しみが癒えない時はどうすればよいでしょう
初七日を過ぎ、四十九日までゆっくりお別れをすることで、次第とペットを失った悲しみは薄らいでいくはずですが、それでも知らないうちに涙がこぼれるなどペットロスに悩むときは、無理に忘れようとする必要はありません。納得がいくまで涙を流すのもひとつですし、ペットと過ごした日々を思い出しながら写真に話しかけてあげるのも良いです。
そして、初七日までのお別れと同じことを繰り返すことで、少しずつペットの死を受け入れることができるでしょう。
「泣く」には「立」が含まれます。「涙」には「戻る」が含まれます。泣くことで立ち上がり、涙することで戻ることができるはずです。人には自分で癒えていく力があります。無理することなく、きちんとお別れすることができれば、必ず悲しみが和らぐときがくる、その日までゆっくりと過ごしてください。
【一般社団法人日本看取り士会奈良研修所・看取りステーション奈良「ほほえみ」】
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※このページの内容は2023年6月30日現在のものです。