スニーカーにはきかえて

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尼寺北廃寺と南廃寺 (香芝市尼寺)

国道168号線の尼寺の交差点を少し北に行ったところに細い道がある。そこを西側に向かって歩いていくと、石燈篭や石碑のようなものが建つ小さな原っぱが見えた。なんだろうと気になりながらもそのまま通り過ぎる。住宅街の細道を歩いていると、突然視界がひらけて広い原っぱが見えた。真ん中のほうに低い丘があり、その上に礎石のようなものも見える。ここが「尼寺廃寺(北廃寺)」のようだ。

尼寺廃寺は、平成3年から発掘調査が始まり、平成7年には日本最大の塔心礎(塔の中心になる柱の土台となる石)をもつ大規模な塔跡が発見され、心礎の中からは、耳環(今でいうイヤリング)なども出土している。南北約70m、東西約44mというかなり大きな寺だったようだが、今はただの広い空き地という感じがして、当時のことはなかなか想像しにくい。

尼寺廃寺から北側に歩いていくと、住宅地の中に「来迎寺」という小さな寺があった。入り口に巨大な猫が寝そべっていてやや入りづらい感じがしたが訪ねてみた。住職の山本聖順さん(64)に話を聞くと、来迎寺は昔「薬師寺」だったらしく、今の場所から少し離れたところ(ちょうど尼寺廃寺に向かう前に気になったけど通り過ぎてしまった辺り)にあったそうだ。あの原っぱは「薬師堂跡」というそうで、同寺があった名残ではないか、と山本さんは言う。

その話を聞いて、もう一度薬師堂跡とその前にある「般若院」に足を運んだ。般若院は住職のいない寺みたいで、訪ねた時も誰もいなかった。古い木の門から中に入ると、墓らしきものと古びた井戸があった。本堂は閉め切られており、その前に線香立てだけがポツンと置いてある。なんだか寂しい印象のする寺だが、二上山博物館の人の話によれば、同寺や薬師堂跡周辺は、尼寺廃寺跡(南廃寺)の主要伽藍(がらん)があったと推定される場所で、当時のものと思われる礎石や瓦も見つかっているそうだ。200m以内にある2つの寺は僧寺と尼寺の関係にあったと考えられている。

2つの寺について確実に分かっていることは少ない。ただ、この場所でそれを想像していると、昔と今が交錯して、なんとも不思議な気持ちになる。 (花)

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新薬師堂

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尼寺廃寺(北廃寺)の塔跡の心礎

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来迎寺の住職・山本聖順さん

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般若院

地図

尼寺北廃寺

香芝市尼寺