スニーカーにはきかえて

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讃岐神社(北葛城郡広陵町)

竹の中から生まれたかぐや姫の物語。あまりになじみがありすぎて、今さら詳しく解説するまでもないが、美しく成長したかぐや姫が月へと帰っていく様子は、子どもながらに神秘的な物語として心に残っている。

北葛城郡広陵町は、“かぐや姫のまち”として広く知られている。車で町を走れば、いたるところで看板を見かけ、敷地面積6.5ヘクタールの広さを有する竹取公園は、かぐや姫の里であることを強く印象づける。

その整備された公園からほど近く、こじんまりとした神社が鎮座している。「竹取物語」の舞台とされる広陵町大字三吉の北部に位置する讃岐神社だ。

「今は昔、竹取の翁というものありけり。名をば讃岐造(さぬきのみやつこ)となむいひける」

物語の冒頭、竹取じいさんの名前が、讃岐村の長を意味する讃岐造として登場している。竹取物語ゆかりの地とされるゆえんだ。境内にある案内板を読むと、さ らに解説が続く。そのおじいさんの出身部族である讃岐氏は、持統―文武朝廷に竹細工を献上するため、現在の香川県である讃岐国の氏族斎部氏が、大和国広瀬 郡散吉(さぬき)郷に移り住んだものというのだ。奈良県では珍しい犹彰瓩箸い神社名の由来はそこにあるようだ。参道を包むようにある竹林が、その名残 を今に伝えている。

風に揺れる竹を眺めていると、「平日は静まりかえっているでしょ」と、地元の男性。気候の良い休日は、ハイキングにくる人も多いという。近くには馬見古墳群の中でも最大級の巣山古墳がある。後世に残る物語が誕生してもおかしくない歴史的風土があるのかもしれない。

中秋の名月のころには、「広陵かぐや姫まつり」が開催され、おみこしで練り歩く姿も見られる。わが国最初の物語と言われる竹取物語は、今も私たちの生活に息づいているのだ。

訪れたのは、冷たい空気が肌をさす師走。人気のない境内で、そっと供えられた柿とミカンが、太陽の光を受けて朱色に輝いていた。夜は月明かりで輝く竹が見られるのだろうか―。いつになく空想にふけってしまった。(真)

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美しく整備されている竹取公園

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さらさらと音をたて揺れる竹

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地図

讃岐神社

北葛城郡広陵町