スニーカーにはきかえて

インデックスに戻る

矢田寺四国88ヵ所霊場 (大和郡山市矢田町)

大和郡山の矢田寺はアジサイで有名な寺である。その矢田寺の裏山に、四国八十八カ所霊場を模した「ミニ霊場」があると知り訪ねた。

本堂の左手に「矢田寺四国八十八カ所霊場へんろみち入口」の看板が見え、遍路道が始まる。1番霊場から山をぐるっと一周するように88番霊場まで山道に石仏が続く。四国に実際ある寺の本尊が彫られた石仏。横に弘法大師像が並んでいるが、なくなってしまっているところもある。石仏の下には四国の各霊場の砂が埋められているそうだ。

四国の霊場に行けない人のための「ミニ霊場」は全国各地にあるが、山という地形を利用した、ここまで大規模なものは関西でも珍しいという。

矢田寺の遍路道は大正15年から昭和の初めにかけて、地元の檀家や大阪の信者らによってつくられたそうだ。

しかし、ここ30年ほどはその存在が忘れられていたという。数年前からこの遍路道を復活させようと、道をふさいでいた倒木を除け、草を刈り、倒れていた石仏を水平に直し、歩けるように整備を続けた。その中心となったのが矢田寺へんろみち保存会会長の山下正樹さん(61)。

銀行を退職後、四国の霊場も回り、その遍路道の補修にも携わってきた。
「お遍路は文化。遍路道で出会う地元の人との触れ合いや、受ける接待などで人間の原点を感じられる。健康のため、自分のために若い人にも遍路道を歩いてもらいたい」と話す山下さんは現在県立大学の学生でもある。数人で始めた保存会も現在35人。看板を作ったり、日々の草刈りなど仕事はまだまだ続いている。休憩所「じゅっぷく茶屋」も修復され、そこから見渡せる大和平野は圧巻。竹を伐採してモミジを植え、10年後には名所となる予定だ。

石仏は一体一体顔も違い、どこか穏やかな表情。一周約4.5kmで、ゆっくり回っても2時間あれば歩ける。結願の石仏を過ぎて本堂前に戻ってくると、何とも言われぬ充実感がある。

80年前、先人達はこの遍路道をどんな思いを込めてつくったのか―。石に彫られた先人の名前も浮かび上がり、今遍路道を整備する人たちに、その思いは伝えられているのだろう。(久)

写真

山道に沿うように並ぶ石仏。
さい銭や花が供えられている

写真

草刈りをしながら遍路道を歩く山下さん

地図

矢田寺

大和郡山市矢田町