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瑜伽神社(奈良市) “平城の飛鳥”と呼ばれる 桜と紅葉の名所

 奈良市高畑町、奈良ホテルの東にあるという瑜伽(ゆうが)神社。紅葉の名所として知られ、ホテルとの間の国道は何度も通っているのに、これまで訪ねたことがなかった。住宅地の中、突然きれいな朱塗りの鳥居が表れ、奥に本殿まで続く長い階段が見えた。

まず神社の名前が特徴的である。宮司の藤岡信宏さん(45)によると、「瑜伽」とは仏教用語で、「中世呼吸と精神の合一をはかる「ヨガ」の語源ともいわれ、平安後期に興福寺の大乗院が創建され、その守護神として篤く信仰されて、この名前がついたということだ。

境内には2つの歌碑がある。階段の中腹にあるのが、江戸時代に藤原良材が詠んだ歌の桜楓歌碑。

春は又花にとひこん瑜伽の山 けふのもみぢのかへさ惜しみて

古来この地は桜と紅葉の名所であったそうだ。紅葉狩りに来た作者は見事な紅葉を惜しみつつ、春にまた来て花見をしたいと詠んでいる。

階段を上りきり、本殿の右側にある歌碑は、大伴坂上郎女の歌が刻まれた万葉歌碑である。

ふる里の飛鳥はあれど青丹よし 平城の明日香を見らくしよしも

1300年の昔、平城遷都で奈良にやってきた官人たちは、昔の都である飛鳥に望郷の感を抱いていた。当時の元興寺周辺(今の高畑町の辺り)の雰囲気が飛鳥に似ていたという。そこでこの辺りは「平城(なら)の飛鳥」と呼ばれるようになったそうだ。今も小学校の名前など地名にその名残を残している。

万葉歌碑の横には「飛鳥の御井」と呼ばれる井戸があり、これまで一度も水が枯れたことがないという。この辺りは水のきれいな土地で近くには酒蔵もある。

振り返ると、木立の間から大和盆地が望める。「小さい時、空気の澄んだ日には大和三山が見えることもありました」と藤岡さん。今はいろいろな建物が建っていて見えることはないという。はるか昔、万葉人の時代には見える日も多かったに違いない。

すぐ横には国道が走り、車も多く通っている。しかしながら、どこか日常と離れたような気分になりながら本殿に手を合わせた。 (久)

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朱塗りの鳥居が夕日に映える。
鳥居の前で手を合わせる近所の人の姿も

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万葉歌碑と飛鳥の御井

地図

瑜伽神社(奈良市)