スニーカーにはきかえて

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布引の滝(宇陀郡曽爾村)

曽爾村の役場から北にそびえる兜(かぶと)岳、鎧(よろい)岳。その裏の北の斜面に、ほとんどの地図に記載されていない滝がある。曽爾村発行の観光ガイドブックに小さく載っているその滝に魅せられて、行ってみることにした。

バス停がある役場からスタートし、滝まで約3.5kmの行程だ。県道784号赤目掛線は舗装された道、急坂を1kmほど登るとキャンプ場「サン・ビレッジ曽爾」の看板が見えてくる。車で来た人はこの辺りに置いておくとよさそうだ。

小さな祠(ほこら)のある神社が見えてきたら最後の急な登り坂、さらに数100m行くと「林道川下り線」の分岐が見えてくる。

林道はほとんど一般の人が訪れないため、杉の落ち葉が道に積もっていた。小さな川が林道と平行し、3日前に降った雨のせいで、あふれて道まで川のよ うになっていた。スニーカーでバシャバシャ音をたてながら歩くのもワイルドで楽しい。間伐の行き届いた杉林は木漏れ日の光が差し込んで明るく、しんと静ま り返って鳥のさえずりだけが森に響く。久し振りにカッコウの声を聞いた。

橋を渡ると雰囲気が急変する。杉林が消え、下り坂、ごつごつした岩が壁面を覆う。岩肌に苔が生え、壁面から岩清水が苔に伝わり流れ落ちる。ひんやりと清々しく、涼を感じて立ち止まった。だが凍てついた冬には清水が氷瀑となり趣を変える。この辺りから滝の音が聞こえ出す。

「布引の滝は落差54m、幅7.6mのみごとな滝です。雨上がりの後は特に真っ白な布を広げたように見えます」と曽爾村観光協会事務局の山本吉修さん(39)は言う。

下り坂を一気に降りてしまうと、左手の木々の間から白い滝が目に映る。

一枚岩にゴツゴツと角がたくさんあり、そこを滑るように流れる水は、角に当たるたびに白く水を跳ね上げる。まるで水の通り道が繊維のようにみえ、全体を白 く染め上げていた。滝のきわまで石をつたって行けそうな気がするが、苔でおおわれた石を滑らずに歩くことは困難なようだ。水滴が霧状に降り注ぐ。天然マイ ナスイオンを体いっぱいに浴びて英気をやしなった。  (え)

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地図

布引の滝

宇陀郡曽爾村