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丹生川上神社上社 (川上村)

県内に丹生川上神社という名を持つ神社は川上村の上社、東吉野村の中社、下市町の下社と3カ所ある。「延喜式」にも記された神社であるが、応仁の乱の後はその所在地も不明となり、いろいろな経緯から今は3カ所で祭られているという。

その一つ、川上村の上社は大滝ダムの建設により、平成10年に川沿いから現在の山の中腹に移転された。別の取材でその変遷を聞き、来年には遷座して10年になる丹生川上神社上社を訪ねた。

川上村の役場や銀行、道の駅に隣接する「ホテル杉の湯」の横から、ぐるりと回るように坂道を上った所に新しい神社は建っている。残念ながら移転する前の神社に行く機会はなかったが、神社から見える風景も川沿いにあった時とは随分と変わったことだろう。

拝殿の前には狛犬の代わりに立派な2頭の馬が社を守っている。丹生川上神社上社の祭神は高 大神(龍神)であり、昔は祈雨・止雨を祈る時には生きた馬を奉納していたという。その名残なのだろう。

また拝殿の横には元の本殿跡から発掘された平安時代の遺跡の復元が置かれている。移転する時の発掘調査で見つかったという。さらにその付近からは縄文時代 の遺跡も発掘されており、その復元は「森と水の源流館」で見ることができる。関西ではあまり見つかっていない配置のストーンサークルもあり、「川を通じて 関東方面ともつながりがあったのでしょう」とは源流館学芸員・成瀬匡章さんの話。今、道やトンネルが通っていても市街地から近くはないこの地に、そんなに 昔から人の営みがあったというのは驚きだ。

「川の近くに人が生活していたというのは自然なこと」と話すのは同神社宮司の平田貴教さん。水は人にとって欠かせないものである。時には脅威ともなる水に対して、昔から人は神に祈りをささげてきた。

現在、ダムを建設することによって、人は水をコントロールできるようになったとも言える。しかしながら、人が自然を完全に制することはできない。建設され たダムや新しく建て替えられた神社を見ていると、形は変わっても、自然を恐れ、水の神に祈る人の気持ちは変わらないのではないかと感じる。  (久)

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丹生川上神社拝殿

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元の本殿から発掘された祭場跡

地図

丹生川上神社

吉野郡川上村