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必要?不要?いまどきの自治会事情


地域で暮らしていく中で、自治会(町内会)とどのように関わっていくかは大きな問題です。今回は、先日行った「自治会」についてのアンケート結果を紹介します。自治会について、皆さんの考えはいかがですか。ご意見お待ちしています。

90%が自治会に加入 その理由はさまざま

自治会には90%の人が「入っている」と返答【図1】。理由としては「当然と思っています」(御所市、まみ子さん、70代)や「自治会がある以上は、その一人として務めを果たしていくのが住民の務めと思う」(奈良市、裕子さん)など。中には「ほとんどの世帯が入っていて、入らないと世間体が悪いから仕方なく」(桜井市、たかさん)という声も。

一方入っていない理由としては、「現在自治会で行っている業務は市町村がすべきと思うから」(宇陀市、かんがえるさん)や「実質的に活動を知らない」(奈良市、サザンさん、60代)。「(会費の使い方など)納得のできないことが多く、改革する気がない」(生駒市、にしさん、70代)と自治会の運営方法に疑問を持っている人もいました。

【図1】

役割の決め方も問題に 半数が年齢や家の順番

自治会の運営で問題になるのが、役割の決め方です。家の順番や入居順など輪番制・持ち回りが51%と最も多く、続いて会議や話し合いが22%、くじ引きやじゃんけんが12%、推薦や立候補が7%、互選・選挙も8%ありました(複数回答あり)。「班長は順番制。役員は話し合い。決まらない時はじゃんけん」(橿原市、popoさん、60代)と組み合わせて決めている自治会も多いようです。中には「会長が単独で決めている」(葛城市、KHさん、50代)という声もありました。

「自治会は必要」 68%内容や高齢化の問題も

「自治会は必要だと思いますか?」と聞いたところ、「必要」が68%。「必要ない」と「どちらともいえない」がほぼ同数となりました【図2】。

自治会のメリットは「防災訓練や一斉清掃活動等を通じて、町内の方々と触れ合うことができる」(奈良市、ひでぶんさん、50代)や、「災害や天災が起こった時に、お互い助け合える」(御所市、むにゃむさん、30代)、「市役所やその他の団体の情報がよくわかる」(御所市、定さん)などがありました。また「個人では難しいが、役所への要望など団体での交渉、提案ができる」(橿原市、伴さん、70代)ということもあるようです。

メリットを感じないという意見では、「町内会費の運営が問題に」(奈良市、着物乙女さん、70代)なったり、「自治会長の仕事が多すぎて、皆高齢なのでもし会長職が回ってきてもできない」( 斑鳩町、ケセラセラさん、60代)。「自治会独自の活動はまったくなく、当会に限りメリットはない」(奈良市、嘉さん)という意見がありました。

【図2】

続けていくための課題 自治会の在り方も変化

「昔からそこに住んでいる人と新しく入ってきた人の交流が難しい」(奈良市、ヒコさん、60代)という問題も出てきています。「もっと存在意義のある自治会に再構築していく必要がある」と大和高田市の洋さん(50代)。「自治会があることのメリットをいかに伝えていくか」(上牧町、憲さん、70代)と自治会を続けていくための課題をあげる人もいました。

今回のアンケートで自治会に対して「デメリットはない」と「メリットはない」という両極端な声が寄せられました。「人は一人では生きられない」(香芝市、泰さん)のも事実。時代に応じて、自治会の在り方にも変化が求められているようです。

専門家の意見

自治会町内会、多様な役割

奈良女子大学名誉教授 澤井 勝さん

順番で持ち回る組長、後継者の問題も

自治会は大体10戸から15戸ぐらいの組に分かれ、新しい住民が引っ越してきたとき、組み込まれるのはこの組です。組長は順番に持ち回りの場合が多く、新住民にとって最初の難関はこの組長の順番が回ってきたときでしょう。これは何年たっても一番の負担感があります。70歳を過ぎればこの役割も困難になり、後継者をどうするかが問題です。

年度の終わりには、次の役員を選び、頼む仕事もあります。大体が当番制だと皆さん引き受けてもらえますが、それなりに気苦労はあります。

多岐に渡る仕事、主要役職も任期制を

組長の仕事はまず回覧板を回すこと。市役所、交番、消防からは防災訓練、社会福祉協議会や赤十字への寄付金集めなど、いろいろなお知らせがあります。次に町内会費を集めるために各戸を回ります。今年(2020年)は、国勢調査の年でその調査員も頼まれます(守秘義務があります)。

ごみ収集の場所の管理と清掃が主な仕事のところもあります。また市報の配布の仕事もあります。ほかに体育振興会などのバレーボール大会、ボーリング大会、芋の植え付けと芋堀り。団地の夏祭りの焼きそば店出店、新年のドント焼きなど、多岐に渡ります。

しかし、かなりのところで見られますが、連合自治会長や総代などの主要役職を一部の長老的な人が長年担っていることが一番問題です。本当は任期制をきちんと導入した方がいいですが、それができません。できているところもありますが、多分、長老の方が引退する機会に導入したか、団地自治会やマンション自治会の場合かもしれません。

「小さな自治」大事に、行政と協働し支援も

こう見ると自治会町内会の役割は大きく2つあります。ひとつは、行政の末端機関としてのお世話役。もう一つは、住民の自主的な助け合いと親ぼく、交流の場をつくり、地域で普通に生活するのを助けることです。ここに「小さな自治」の根っこがあります。

「小さな自治」とは、民主主義の基礎にある自治で、イギリスはイングランドの「パリッシュ」です。「パリッシュ」では150人以上住民がいるところは、自治法で議会を置くことが義務付けられています。フランスの「コミューン」も数百人規模が多く、日本で言えば一つの自治会の規模です。アメリカの「タウン」も「小さな自治」、「近隣自治組織」です。

町内会自治会は昭和15年、戦時体制をつくるために政府が上から強制的につくり、隣組を組織したところから始まったとされますが、実は、少なくとも江戸時代から「町組」として生きてきました。だから、昭和22年にGHQによって禁止されても実際は生き残り、昭和27年のサンフランシスコ講和条約発効の後、復活したのです。

問題は多々ありますが、互助・共助の仕組み、「小さな自治」組織への足がかりとして、大事にしていけたらと思います。行政に望みたいのは、地域担当職員制度を導入して、自治会と協働し、支援する仕組みをつくってもらいたいということ。全国で30%の市ではつくっているそうです。

ご意見お待ちしています

「自治会」に関して、さらに皆さまのご意見お待ちしています。奈良新聞社ならリビング編集室まで。
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このページの内容は2020年5月22日現在のものです。




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