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漢方養生で日々健康~体質を知るともっと元気になれる~vol.9「かぜ」をひきやすくてお悩みの方へ

 漢方理論をもとに女性の悩みに答えてきた一陽館薬局のかしたに陽子さんに、健康を保つ秘訣を聞く連載企画。今回は「風邪」をひきやすくてお悩みの方におすすめのお話です。

 


「免疫力」を高めて内面からも適切な対策を


 「毎月、かぜをひきます」「家族からのかぜがうつります」……何とかなりませんか?
というご相談はけっこう多いお悩みのひとつです。
 手洗いやうがい、換気、温度や湿度管理など細心の注意をしながら過ごしているのに、人一倍かぜをひいてしまうと気持ちまで滅入ってしまいますね。
 その度に病院へ行き、一定期間くすりを服用するということの繰り返しにホトホト困っているという声も聞かれます。

 風邪はウイルスや細菌などが体内に侵入して、鼻やのど、気管支などに炎症を起こすもので、日常生活の中で完全に避けることは難しいともいえます。ですが、かかる頻度やうつりやすさによっては、ウイルスや細菌など外からの攻撃に対抗できる体力を高めておくことも大切ではないでしょうか。

 

邪気には外的要因〈外邪〉と内的要因〈内邪〉がある

 

 漢方では、からだ側の「免疫力」「防衛力」を高めるとともに、身体に悪い影響を及ぼす「邪気」を取り除く理論があり、体内に侵入させないようにして病気を予防することを重視しています。
 「邪気」とは、身体に悪い影響をもたらすものをいい、気候などの影響で外から入り込む外的要因〈外邪〉と、体質など内的要因〈内邪〉があります。
 花粉やウイルスなどは外邪、血行不良やむくみなどは内邪に分類されます。

 皮膚や鼻・気管支などの粘膜細胞を強化して免疫力を整え、外的刺激から体を衛(まも)る働きを「衛気(えき)」といい、体表にバリアを張り巡らせて、邪気の侵入を阻止し、病気になる前に防ぐ役割を担っています。
 衛気の不足した状態は、「衛気虚(えききょ)」といいますが、不規則な生活や食生活の乱れ、運動不足、生活環境などにより抵抗力が低下して、外的刺激の影響を受けやすくなり、具体的には風邪をひきやすい、疲れやすい、呼吸器系の不調、季節の変わり目や気温変化に体調を崩しやすいなどの不調が起こりやすくなります。

 

 

①まずは衛気を高めて抵抗力を充実させましょう

 日常生活では、適度な運動や気温に応じて衣類を調節するなどにより、抵抗力を養うことを意識して過ごしましょう。
 また、バランスの乱れの要因となる不養生を控えることも大切です。
 たとえば、遅寝・徹夜・過労など体力不足につながること、暴飲・暴食・偏食・少食など栄養の偏りにつながること、ストレス・運動不足など新陳代謝の低下につながることなども要注意です。
 食事は、緑黄色野菜やきのこ類、香味野菜、果物、たんぱく質などを中心にバランスよく摂りましょう。

 

 

②内面からの適切な対策が効果的

 

 風邪をひいたといっても、症状によって、どのような邪気が要因となっているかを確認して見合った対処をすることがスムーズな回復につながります。

 

▶風寒タイプ:冷え、悪寒、透明で薄い鼻水、鼻づまり
→冷えが要因となっているため、冷やすと悪化しますので、温めることがポイントです。

 

▶風熱タイプ:発熱、のどの痛み、目の充血、のどの渇き、粘りのある鼻水
→体内に熱が過剰になっていますので、しっかり水分補給をして熱をさますことがポイントです。

 

▶風湿タイプ:鼻水が多い、頭重、顔のむくみ、吐き気、食欲不振
→水分代謝が滞っていますので、水分の摂り過ぎに注意して胃腸の働きを整えることがポイントです。

 

▶風燥タイプ:空咳、のどの渇き、皮膚の乾燥、便秘
→乾燥し潤い不足になっているため、水分をとり一定の尿量を確保することがポイントです。

 

 特に女性の場合は、月経や出産などにより衛気を維持するために必要な「血」が不足し、体内の栄養不足から体力の消耗が負担となって、結果的に病気にかかりやすくなったり、回復が遅れたりすることも考えられますので日頃から意識して血を養う漢方薬などを利用されてもよいかと思います。
 皮膚や髪の乾燥、脱毛、若白髪、動悸、不眠、不安感、便秘気味など、一見「血」とは関係ないと思われるかもしれませんが、漢方では血の不足のサインとして特徴的なものです。

 

 「風邪をひいたからかぜ薬」だけでなく、どうして風邪をひきやすくなったのかについて、全体の体調と照らし合わせてみてみると、抵抗力や体質的なバランスの崩れなどに気づくことができるかもしれませんね。

※このページの内容は2022年9月16日現在のものです。

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